ネタバレなるべく回避の実写映画ガッチャマン感想〜ガッチャマンクラウズ好きから見て〜

実写映画ガッチャマンが酷いと話題になっている。
ニコニコ実況でも某レビューのせいで、実写映画ガッチャマンのCMが流れるたびに「四点」の弾幕が出る。
しかし見もしないで批評批判は出来ないのでちゃんと見てきた。
出来る限りネタバレ回避で書いてます。
どんな感想なのかはお察しの通りですが。

白組のCGはかっこよかった。衣装もよかった。でも物足りない。

白組のCGのパワーは実写もやしもん三丁目の夕日で見ているわけだが、この映画でも白組CGが発揮されていて良かった。ハリウッドなどど比べてしまうと見劣るかもしれないが、物語冒頭からそのパワーはフル稼働している。(余談だが、初めて実写もやしもんを見た時は第一話の桜がCGだとは思わなかった。ちなみに筆者はアニメもやしもんより実写もやしもんのほうが面白いと思っている。実写だからと言って敬遠すべきではない。)
そして衣装も良い。初代アニメ版に近いデザインだが、平成仮面ライダーのようなカッコよさが加わって、TRONからトロン・レガシーに進化した。とまではいかないものの、そんな感じ。
…但しベルク・カッツェを除く。何でベルクカッツェだけ旧作のままなんだよ。しかも実写だからSMもののエロビデオにこんなやつ出てくるよねーって印象しか残らんよ。がっかり。
そして何と言っても、アクションに対して実写でやる必要が無いと感じてしまった。
実写映画るろうに剣心は公開前はもうまとめブログとかでフルボッコされていたけど、実際に映画館で見て剣さばきやスピード感たっぷりのバトル、それを支えるカメラアングル、技名を極力言わない工夫などでアニメでも漫画でも絶対描けない剣心がそこにはあって、これは実写じゃなきゃダメだ!と強く思わされた。
しかし実写ガッチャマンは戦闘を見ていても、そこまで実写じゃなきゃいけない要素はそんなにない気がする。前述の実写るろ剣の剣術バトルや実写スターウォーズライトセイバーバトル、トロン・レガシーのディスクバトルと比べても遅い、遅い、タイクツ。

物語自体はありふれてるアレ。

日テレオンデマンド視聴時にしつこく出てくるCMを見てる人はもう分かりきってると思うが、実写ガッチャマンのテーマの一つは「ヒーローって何ぞや」である。
映画が始まってすぐに説明がなされるが、実写ガッチャマンガッチャマンは侵略者ギャラクターへの対抗手段としての人間兵器の総称であり、彼らは特殊な石からエネルギーを引き出して能力を得ることのできる人々である。(一言でいえばタイバニのNEXTみたいなもの)故に石からエネルギーを引き出せる人たちは嫌でもガッチャマンにさせられるので、登場人物たちは「何でガッチャマンにならなきゃいけないんだー!」と悩む。一言でいえばギルクラの主人公の初期の頃そのもの。この前ツイッターで「主人公は悩まなくてはならないのです。ガッチャマンクラウズ主人公は悩んでないからクソ」みたいなツイートあったけど(実際は、クラウズの主人公のはじめちゃんは悩んでいるけどあたかも悩んでいないように描いているようだが)その人もびっくりするんじゃないかってくらい悩んでる。鬱になるんじゃねーの。と心配するくらい。
で、その「ガッチャマンになり機械的に任務を遂行する意味とは」が度々でてくるが、そこに恋愛が絡んでくる(どういう恋愛なのかはネタバレになるので自重する。しかし、但し例の4点レビューでは剛力だと言っているが、剛力ではない。とだけは言っておこう。)
この恋愛のせいで、どっかで見たことのあるような、あるいは既に出尽くしたやたら薄っぺらい結論になっていて、山田君と七人の美女みたいにずっとチューチューしてろやこの野郎と言いたくなる。
レ・ミゼラブルも一言でいえば「憎しみしか知らない人が愛を知る」という、一見なんか薄っぺらそうな感じに見える。が、主人公達の生きざまを映し、濃密な二時間にそれをまとめることで、その薄っぺらそうな言葉はクライマックスで大変重い言葉になり涙するのだが…実写ガッチャマンは薄っぺらいテーマに薄っぺらい恋愛と、どっかで見たような展開なのでテーマと結論が息してない。その結論もネタバレになるから言えないけど、もう見たことあるし。子供向けならまだしも、大人向けでこれはなあ…

おはようガッチャマン、映画でやるべきじゃねえよ。

映画の前座としてショートギャグアニメおはようガッチャマンの特別編をやるわけだが、要らねえ。
他作品上映前の宣伝ならわかる。でも「これから実写ガッチャマン見るぞー!」って人に実写ガッチャマンの宣伝してどうする。
ガッチャマンクラウズ宣伝しろや!

僕が実写映画ガッチャマンを見て気づいたこと

僕が実写ガッチャマンを見て気づいたこと、それはガッチャマンクラウズで旧ガッチャマンで出てくる設定を現代にふさわしいように引き継がせることで2013年にふさわしいガッチャマンを描き、今までになかった次世代のリーダーを誕生させようとする中村健治の素晴らしさである。
実写ガッチャマンは外見はガッチャマンなのだが、中途半端に昭和を引きずっているが故に古臭くなっているが、クラウズは定義と核をそのままに現代にふさわしく昇華させて甦らせているので、現代の我々が抱える問題を通してヒーロー・ガッチャマンのあり方を描いている。(この辺は多くのはてなブログはてなダイアリー等で考察されており、僕自身も「ガッチャマンクラウズは、ちゃんとガッチャマンしてる。」にてちょっと言及した)
だから実写ガッチャマンのテーマの一つ「リーダー、ヒーローって何だ」についても、クラウズはSNSが蔓延る近未来を舞台にすることでより現代社会にふさわしいリーダー像、ヒーロー像を探ってるものだから、昼の情報番組で実写ガッチャマンのメンバーの中身が出てきて「新しくなったガッチャマンです!お願いします!」なんて言っていたけど、先を行っている意味ではクラウズのほうが100倍上を行ってる。

僕はおおよそ2000円を犠牲にして実写ガッチャマンを見たが、もしこの記事を見ている人で実写ガッチャマンを見ていないならば、実写ガッチャマンを見る為にかけるお金を今すぐ日テレオンデマンドガッチャマンクラウズのプレミアム見逃しパックに費やし、真の新しいガッチャマンを見るべきだと考えている。
例のレビューのように100点中4点とまではいかないが、はっきり言って映画代約2000円を払ってまで実写ガッチャマンは見る価値はない。



最後に、ガッチャマンクラウズOPの一節を少し拝借してもじったこの言葉で〆るとしよう。


"CROWDS" are calling our name!